弥生の花

早春賦(そうしゅんふ)

「野に出れば人みなやさし桃の花
               
高野素十

「ふだん着でふだんの心桃の花」細見綾子

これは我々の先祖が
長い自然との体験で
見につけた知恵であり口碑でしょう。

「桃栗三年 柿八年」は
その一部分だけを切り取って伝わっているのです。

桃・栗三年
柿八年
後家は一年
梅・梨・林檎が十八年
蜜柑の大馬鹿二十年
柚子ののろまは二十と五年 
あなたと私は一生よ〜♪

モモ(桃)  バラ科

春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど

時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず

氷解け去り 葦は角ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日もきのうも 雪の空
今日もきのうも 雪の空

春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思を
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か




「源平の咲きそめてはや咲き分れ」鈴木花蓑

左の写真は「源平桃」です。
同じ枝に色の異なる花がつくのは他の植物にもありますが,
これは一般的には「キメラ」と呼ばれます。
同じ植物体に遺伝子の異なる細胞が混じっているので
このようなことになります。
キメラの例はサツキ(皐月)にも見られます。

キメラの語源は
ギリシャ神話に登場する
ライオンの頭にヤギの胴体、ヘビの尻尾を持つ生物である。